宇宙には、次のような意味がある。
広義には、森羅万象(あらゆる物事)を含む天地の全体、「世界」の意味。
哲学や宗教など、何らかの観点から見て、秩序をもつ完結した世界体系、「コスモス」の意味。
狭義には、天文学的・物理学的にみた「宇宙」と、地球の大気圏外の空間 「宇宙空間」の意味。前者においては、「観測可能な宇宙」を指すこともあり、「観測可能な空間」の外側に広がる空間的に繋がった広大な宇宙全体を指すこともある
地球上から見た宇宙とは、人間が物理的に観測可能な最大範囲を指す言葉である。宇宙は膨張し続けているため、宇宙の大きさを表現するにはいくつかの単位がある。
地球から、人類が観測可能な宇宙の果てまでの、いま現在の長さである共動距離は、地球を中心とする全方向に約470億光年と推定されている。この最大範囲の境界面は粒子的地平面とよばれる。この場所は現在、光速の約3.5倍の速度で地球から遠ざかっている。
光の旅した時間に光速をかけたものはLight travel distanceとよばれる。Light travel distanceでは、電磁波により観測される宇宙[4]の大きさは半径137億光年と推定される。光が地球に届く間に宇宙が膨張し、そのため光の道程が延び、また光を放った空間が遠ざかる。このためLight travel distanceは、いま現在の長さである共動距離と値がずれる。また、現在地球がある場所からこの場所までの、137億年前の長さは約4000万光年と推定されている。Light travel distanceは、天文学において地球から天体までの距離を示す際、よく利用される。
観測可能な宇宙を含む宇宙の全体は、インフレーション理論に基づき、より広大であろうと予想されているが、いまだその大きさが有限なのか無限なのかはわかっていない。
宇宙の始まりはビッグバンと呼ばれる大爆発であったとされている。
ハッブルの法則によると、地球から遠ざかる天体の速さは地球からの距離に比例するため、逆に時間を遡れば、過去のある時点ではすべての天体は1点に集まっていた、つまり宇宙全体が非常に小さく高温・高密度の状態にあったことが推定される。
このような初期宇宙のモデルは「ビッグバン・モデル」と呼ばれ、1940年代にジョージ・ガモフによって提唱された。
その後、1965年にアーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンによって、宇宙のあらゆる方角から絶対温度3度の黒体放射に相当するマイクロ波が放射されていることが発見された。これは、宇宙初期の高温な時代に放たれた熱放射の名残であると考えられ、ビッグバン・モデルの正しさを裏付ける証拠であるとされている。
しかしその後、宇宙の地平線問題や平坦性問題といった、初期の単純なビッグバン理論では説明できない問題が出てきたため、これらを解決する理論として1980年代にインフレーション理論が提唱されている。
また場の量子論によれば、発生初期の宇宙は真空のエネルギーに満ちており、それが斥力となり宇宙膨張の原動力になったとされる。
張する宇宙がこの先どのような運命をたどるかは、アインシュタイン方程式の解である宇宙モデルによって異なる。
一般に、一様等方という宇宙原理を満たすような宇宙の形には、空間の曲率が0の平坦な宇宙、曲率が正の閉じた宇宙、曲率が負の開いた宇宙の3通りが可能である。
平坦な宇宙か開いた宇宙であれば宇宙は永遠に膨張を続ける。閉じた宇宙であればある時点で膨張が収縮に転じ、やがて大きさ0につぶれる。
2005年時点での最新の観測結果によれば、宇宙は平坦な時空であり、このまま引き続き広がり続け、止まることはないと考えられている。
宇宙の年齢・大きさの項目とも関連するが、平坦な宇宙や開いた宇宙の体積は無限大であり、このような宇宙では宇宙誕生当初から体積は無限大である。これは、宇宙が素粒子よりも小さな大きさから膨張を始めたというビッグバン宇宙論やインフレーション宇宙論と相容れない点である。無限から無限への膨張は矛盾しないが有限から無限への膨張には少なくとも1度は無限大の膨張速度が必要でありインフレーション宇宙論においても説明できない。ただし「開いた宇宙」は現在有限宇宙だが永久に膨張を続けるという意味で時空的に無限という意味合いで使われることもある。この場合は膨張速度無限大の問題は生じない。
宇宙が平坦であり永遠に膨張を続けるということは、最終的に宇宙は絶対零度に向かって永遠に冷却し続けることを意味する。
(ウィキぺディアから参照しています)